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山梨県の甲府、甲斐、市川三郷周辺で作られる甲州印伝は、鹿革、型紙、天然漆を重ね、財布や印章入れ、巾着、ハンドバッグに細かな盛り上がりを残す。
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甲州印伝は、やわらかく軽い鹿革の感触から始まる。そこに型紙を置き、漆を盛り上げて細かな模様をのせることで、指先に凹凸が伝わる革工芸になる。山梨県の甲府市を中心に、甲斐市や西八代郡市川三郷町にも製造の場があり、染色、裁断、漆置き、縫製を経て、財布や印章入れ、巾着、ハンドバッグへと形を変えていく。
甲州印伝の場所をたどると、まず山梨県甲府市が見えてくる。甲府市は主な産地として挙げられ、製造地域には甲斐市と西八代郡市川三郷町も含まれる。甲府市川田町には甲府印伝商工業協同組合があり、池田商店、印伝の山本、印傳屋上原勇七といった組合員の工房名も並ぶ。ここでいう伝統は、甲府周辺の町名、組合、工房、そして鹿革を扱い漆を置く作業の積み重ねとして見えてくる。
甲州印伝の材料は、表革に使う鹿皮と天然漆である。鹿革はやわらかく、丈夫で軽い素材として語られ、袋物は使い込むほど手になじむ。漆で置かれた模様は細かく盛り上がり、つるつるとした手ざわりを生む。時間がたつと漆の色は冴え、落ち着いた光沢を帯びるため、財布や小物入れを手に取る動作の中で素材の変化が伝わる。
工程は白い鹿革の染色から始まる。黒、紺、茶、えんじ、ワイン色などに芯染めされるが、鹿革は一枚ごとに性質が異なり、染まり方にも差が出る。裁断では型紙に合わせて荒断ちし、角のずれが大きい部分を避ける。漆置きでは、伊勢の白子で手彫りされた和紙の型紙を鹿革に重ね、生漆に砥の粉、顔料、卵白を混ぜたものを盛り上げて置き、乾燥、縫製、仕上げへ進む。
甲州印伝には、鹿革をいぶして色を付ける燻べ技法もある。革を太鼓に張り、藁や松脂の煙で地色を付けることで、黄褐色の表情が生まれる。模様づけには糸巻き、糸絞り、防染糊置き、漆置きなどが関わる。革、煙、防染の手順が一つの面に残るため、燻べの色は表面を塗った色ではなく、作業そのものから立ち上がる色になる。
甲州印伝の産地は、江戸時代末期には現在の甲府市にあたる地域を中心に形成されていたとされる。1854年の『甲府買物独案内』には甲州印伝につながる記述があり、『東海道中膝栗毛』には印伝の巾着を腰から出して見せる場面がある。明治期には信玄袋や巾着袋が山梨の特産品として扱われ、大正期にはハンドバッグも作られ、袋物を軸にした使い方が続いていく。
現在の甲州印伝は、財布、印章入れ、小物入れ、巾着、ハンドバッグなどに見られる。開け閉めし、手で持ち、鞄やポケットに入れる道具だからこそ、鹿革の軽さややわらかさ、漆模様の盛り上がりが日々の動作に関わる。使うほど手になじむ鹿革と、深みのある光沢を帯びる漆は、遠くから眺める装飾よりも、手元で育つ質感として甲州印伝を支えている。
細かな江戸小紋調の柄をきれいに盛り上げるには、漆を均一に置く熟練がいる。縫製でも、鹿革と漆模様が財布や巾着、ハンドバッグの形に合うように見極める必要がある。甲州印伝は1987年に国の伝統的工芸品、1994年に山梨県郷土伝統工芸品に指定されているが、その名称の奥には、甲府周辺の工房と組合、鹿革と天然漆、そして手で確かめる工程がある。
甲州印伝を近くで見ると、甲府周辺の鹿革、天然漆、手彫りの型紙、藁の煙、財布や巾着という日常の形がつながっている。手に持ったときのやわらかい革と盛り上がった漆模様が、山梨の産地を指先に伝える。
公開資料・公式情報をもとにまとめています。出典は下記の各ページをご覧ください(内容は変わる場合があります)。
この品が、日本のどの制度・機関に登録・指定・認定されているかを掲載しています。
英語では Koshu inden leather といいます。
甲州印伝は、山梨県甲府市を中心に、甲斐市や市川三郷町にも製造地域がある鹿革と漆の工芸です。鹿革の染色や裁断、型紙を使った漆置き、乾燥、縫製のほか、藁や松脂の煙で色を付ける燻べ技法があります。財布、印章入れ、小物入れ、巾着、ハンドバッグなどに用いられ、鹿革は使うほど手になじみ、盛り上がった漆模様は落ち着いた光沢を帯びていきます。
漆置きでは、生漆に砥の粉、顔料、卵白を混ぜ、型紙を使って盛り上げて置きます。燻べ技法では、藁や松脂の煙で鹿革に地色を付け、糸巻きや糸絞り、防染糊置き、漆置きなどで模様を作ります。産地は江戸時代末期には現在の甲府市にあたる地域を中心に形成されていたとされ、1854年の『甲府買物独案内』にその記述があります。甲府印伝商工業協同組合は甲府市川田町にあり、池田商店、印伝の山本、印傳屋上原勇七などが組合員となっています。
甲州印伝の製品は、財布や印章入れ、巾着、小物入れ、ハンドバッグなど、日常づかいの道具として用いられます。鹿革は使うほど手になじみ、盛り上がった漆模様は時間とともに落ち着いた光沢を帯びるとされています。職人の話として、修理をしながら長く使うという例も伝えられていますが、これは個別の経験であり、一般的な保証ではありません。
工芸品は直射日光・湿気・急な温度変化を避け、ぶつからないように保管してください。木・竹・漆・紙は水に弱いため、濡れたらすぐに拭き取ります。個別のお手入れは商品ページの表示をご確認ください。
多くは常温で日もちし、箱入りで持ち運びに強く、贈りものや持ち帰りに向いています。最終的な保存・配送条件は楽天の商品ページでご確認ください。
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