和牛の選び方:黒毛・褐毛・交雑種と各地のブランド牛
品種が先、ブランドは後。黒毛和種は霜降り、褐毛和種は赤身、ブランド牛は品種ではなく条件の名前です。
まず品種:黒毛・褐毛・交雑種・乳用種
和牛は日本固有の肉用牛品種の総称で、四つの品種があり、「国産牛」とは別のものです。市場に出る和牛の大部分は黒毛和種で、霜降りはこの品種の肉に出ます。神戸ビーフ、松阪肉、米沢牛も、品種は黒毛和種です。
褐毛和種(あか牛)は赤身が多くサシは適度で、高知系と熊本系に分かれます。土佐あかうしは高知系で、褐色の被毛に目の周りや蹄が黒く出ます。1918年から県内牛群の閉鎖育種が進み、1944年に褐毛和種として認定され、現在は約28か月まで肥育されます。くまもとあか牛は熊本系で、阿蘇、矢部、球磨の在来牛とシンメンタール種などの交配改良を経て1944年に品種となり、繁殖牛は阿蘇の牧野に放牧され、肥育は12か月以上です。
このほかに、和牛ではない二つの牛肉があります。交雑種は黒毛和種と乳用種の掛け合わせで、群馬の上州牛は現在この交雑種を指し、黒毛和種は上州和牛として区別されます。乳用種は酪農のホルスタイン雄牛を肉用に肥育したもので、北海道清水町の十勝若牛は生後約14か月で出荷され、2025年3月に地理的表示第164号として登録され、きめ細かくやわらかな赤身で知られています。
ブランド牛は品種ではなく、条件の名前
神戸ビーフや松阪肉といった名前は品種ではなく、条件の一覧です。品種、生まれた場所か最も長く飼われた場所、性別、月齢、枝肉の等級が並び、すべてを満たした肉だけが名乗れます。神戸ビーフがもっとも分かりやすい例で、神戸という品種はなく、兵庫県で生まれ育ち県内で処理された但馬牛の肉のうち、性別、枝肉重量、肉質等級、脂肪交雑の基準を満たしたものだけがこの名になります。
等級は大筋で十分です。歩留等級A・B・Cは取れる肉の量を、肉質等級5から1は霜降り、肉の色つや、締まりときめ、脂肪の色と質を見ます。A5は両方の最上位です。使い方はブランドごとに違います。仙台牛はA5またはB5だけで、同じ育て方でその枠に入らなかった肉は仙台黒毛和牛として出荷され、霜降りは少ないものの味は劣らないと説明されています。飛騨牛は5・4・3を対象とし、14か月以上の肥育を求めます。
性別と月齢もよくある条件です。松阪肉は未経産の黒毛和種雌牛だけを使い、最後かつ最も長い肥育期間を松阪牛生産地域で過ごします。米沢牛も未経産雌牛に限り、出荷時33か月以上、肉質等級3以上です。この月齢は2023年に32か月から引き上げられました。子牛は一つの農家で生まれ、別の農家で肥育されるのが普通なので、多くのブランドは「最長飼養地」だけを条件にします。神戸ビーフと但馬牛は兵庫県での出生まで求めます。
同じ黒毛和種でも味が違う理由:血統・月齢・飼料
黒毛和種には血統があり、多くのブランドの基礎となる種牛は兵庫の但馬牛にさかのぼります。仙台牛の現在の基礎は1974年に兵庫県から導入された種牛「茂重波」で、四万頭以上の子牛を残しました。飛騨牛は1981年に兵庫県から岐阜へ入った「安福号」の子たちによって発展しました。松阪肉はさらに古く、江戸時代に紀州を通って松阪へ来て役牛として使われた但馬の雌牛に結びつき、「特産松阪牛」は今も兵庫県生まれで、生産地域内900日以上の肥育が条件です。
二つ目は月齢です。飛騨牛は14か月以上の肥育を下限とし、十勝和牛は生後10か月ごろから30か月前後まで肥育し、十勝若牛は生後約14か月で意図的に肥育を止めます。若すぎると旨みが足りず、長くすると牛肉特有のクセが強くなるからです。長ければよいのではなく、品種とブランドごとに均衡があります。
三つ目は飼料です。米沢牛は置賜で稲わらに麦、大豆、ふすまを合わせ、仙台牛は宮城の稲わら、清らかな水、およそ二年半の飼養と結びつき、近江牛と滋賀のつながりは琵琶湖の水、水稲栽培、稲わらにあります。十勝和牛は北海道産稲わら、自家製牧草、十勝産乾草、麦わらに、とうもろこし、大麦、小麦を加えます。こうした違いは等級には表れませんが、同じ等級でもブランドごとに味が違う理由の一つです。
西日本:但馬の故郷と、関西・中部の古い名前
但馬牛がすべての始まりです。牛は兵庫県で生まれ育ち、個体識別番号で誕生日と飼養地をたどれます。北西部の美方郡と新温泉町が中心で、明治時代に美方郡で牛籍簿が整えられ、その後は他府県の牛との交配を避ける閉鎖育種が続きました。約百年前、日本で牛肉を食べるようになるまで、但馬牛は棚田や小さな水田を耕し、荷物を運びました。美方地域の但馬牛システムは2019年に日本農業遺産、2023年にFAOの世界農業遺産に認定されました。
東へ進むと、三つの古い名前がそれぞれの土地にあります。近江牛は滋賀県内で最も長く飼育された黒毛和種を中心とし、1687年に彦根藩が牛肉を味噌漬けの養生薬「反本丸」として将軍家に献上し、明治期には近江商人が横浜や東京へ運びました。松阪肉の生産地域は2004年11月1日以前の22市町村を基準とし、明治初期には約2か月ごとに100頭以上の牛が徒歩で三週間近くかけて東京へ向かいました。飛騨牛は岐阜県北部の山間から来て、表示ラベルには肉質等級、生産者の住所氏名、個体識別番号、日付が並びます。
さらに南の鹿児島黒牛は鹿児島県全域が範囲で、飼養期間が最も長い場所と最後の飼養地がともに県内であることが条件です。県域は出水市の獅子島から与論島まで南北約600キロあり、北薩は冬に氷点下まで冷え込み、温暖な南部の離島は子牛の生産と肥育に向くとされます。鹿児島の牛は1950年代に農業機械が普及するまで役牛でした。
東北・関東・北海道:稲わら、雪、冬の寒さ
東北のブランド牛は稲作と結びついています。米沢牛は山形県南部の置賜地方の牛で、冬は氷点下、夏は湿度が高く、米沢・飯豊周辺が生産のおよそ4割を占めます。明治初期、興譲館の英語教師チャールズ・ヘンリー・ダラスが米沢で牛肉を食べ、任期後に牛を横浜へ連れて行ったことで名が広まりました。仙台牛の主な産地は登米市、大崎市、栗原市で、宮城県の肉牛農家は一戸あたりの頭数が全国平均を下回り、登録農家が一頭ごとに管理します。
関東の上州牛は利根川水系と赤城山、榛名山、妙義山を背景にし、1976年に群馬経済連と肥育農家の協議会が肉質等級「上」以上を上州牛と位置づけました。ある農家の例では生後24から30か月ほどで出荷されます。
北海道の二つの十勝の名前は違う道を歩んでいます。十勝和牛は北海道で生まれ十勝で肥育された黒毛和種で、2024年4月時点で403戸の生産者がいます。「十勝晴れ」と呼ばれる長い日照と広い畑のもとで育ち、ブランド名は1999年に生まれました。甘みを含んだとろけるサシと、霜降り肉の割にさっぱりした味わいで説明されています。十勝若牛は清水町の赤身牛肉で、1991年の牛肉輸入自由化後に若齢肥育へ舵を切り、5戸の生産者が例会で生産方法と肉質をそろえています。町の牛は約5万頭で、人口の約5倍です。
選び方と、注文前に確認すること
まず、どんな食感がほしいかを決めます。とろける霜降りなら黒毛和種のブランド牛を選びます。肉の味を楽しみたい、脂は控えめがよいなら、土佐あかうしやくまもとあか牛といった褐毛和種、あるいは交雑種や乳用種の赤身牛肉が向いています。贈答には黒毛和種が選ばれやすく、平日の食卓なら交雑種でも十分です。商品ページの「国産牛」は日本で育てられたという意味にすぎず、乳用種や交雑種の場合もあります。「和牛」と「黒毛和種」が品種を示し、ブランド名はその上に条件を重ねるものです。
次に、A5だけで判断せず、名前の裏の条件を読みます。飛騨牛は5・4・3を対象とし、米沢牛の下限は3なので、名前だけではA5を意味しません。逆に仙台牛の名は定義上A5またはB5です。商品ページにはふつう肉質等級、部位、用途が書かれ、薄切りはすき焼きとしゃぶしゃぶ、厚切りはステーキに向きます。
最後に実務です。冷蔵か冷凍か、賞味期限、到着日の指定ができるか、贈答なら化粧箱と証明書が付くかを確認します。神戸ビーフには証明書、飛騨牛には表示ラベルがあり、そこにある個体識別番号から、その牛の出生と飼養の履歴を調べられます。
品類と価格帯で自動的に選んでいます。個包装・数・賞味期限は楽天の商品ページでご確認ください。
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北海道
北海道は乳製品・海産物・夕張メロン・木彫りで知られ、食べごたえのある土産や工芸を選びたいときの宝庫です。
兵庫県
兵庫は神戸の菓子・淡路の玉ねぎ・明石のたこに、播州織が揃います。
島根県
島根は出雲そば・宍道湖のしじみ・和菓子に、石州瓦や石州和紙の手仕事がそろいます。
長崎県
長崎はカステラ・皿うどん・角煮まんじゅうに、波佐見焼のうつわで知られます。
宮城県
宮城は仙台牛タン・笹かまぼこ・ずんだ菓子に仙台の工芸が加わる、東北きっての贈りもの集積地です。
岩手県
岩手は南部鉄器や浄法寺塗の工芸と、前沢牛・盛岡冷麺・三陸の海産がそろう、食と手仕事の両輪の地です。
静岡県
静岡は茶・うなぎ・桜えびに、駿河竹千筋細工の手仕事で知られます。
関連する買い物ガイド
よくある質問
和牛と国産牛は何が違いますか?
和牛は日本固有の四つの肉用牛品種を指し、市場の大半は黒毛和種です。「国産牛」は日本で飼育されたという意味にすぎず、乳用種や交雑種を含みます。十勝若牛はホルスタイン種の雄牛を生後約14か月で出荷する赤身牛肉、上州牛は現在、黒毛和種と乳用種を掛け合わせた交雑種を指し、どちらも国産牛ですが和牛ではありません。
A5とは何を意味しますか?
歩留等級A・B・Cは取れる肉の量を、肉質等級5から1は霜降り、肉の色つや、締まりときめ、脂肪の色と質を見ます。A5は両方の最上位です。測っているのは霜降りと見た目であって、味ではありません。仙台牛はA5またはB5のみ、飛騨牛は5・4・3を対象とし、褐毛和種の土佐あかうしは別にTRB規格を使い、肋眼面積、皮下脂肪の薄さ、小サシなどで赤身を評価します。
神戸ビーフ、但馬牛、松阪肉はどういう関係ですか?
神戸ビーフは品種ではなく、兵庫県で生まれ育ち県内で処理された但馬牛の肉のうち、等級、重量、脂肪交雑の基準を満たしたものの名です。松阪肉は未経産の黒毛和種雌牛を使い、その源流は江戸時代に紀州を通って松阪へ来た但馬の雌牛にあります。「特産松阪牛」は今も兵庫県生まれで、生産地域内で900日以上の肥育を条件にしています。
脂が多いのが苦手です。どれを選べばよいですか?
褐毛和種か赤身の牛肉を選びます。土佐あかうしとくまもとあか牛は赤身が多くサシは適度です。前者は約28か月まで肥育され、後者は12か月以上の肥育で、繁殖牛は阿蘇の牧野に放牧されます。十勝若牛はホルスタイン種の雄牛を生後約14か月で出荷したきめ細かな赤身です。黒毛和種の中では、十勝和牛が霜降り肉の割にさっぱりしていると説明されています。