日本茶の選び方:煎茶・玉露・抹茶・ほうじ茶と産地の違い
産地より先に種類を。煎茶はすっきり、玉露は甘く濃く、抹茶は碾茶を挽いた粉、ほうじ茶は焙じて渋くない。
まず種類、それから産地
日本茶はほぼ同じ茶樹から作られます。味が大きく違うのは栽培と加工の差なので、まず種類を覚えると産地の意味が見えてきます。
煎茶は日光の下で育て、蒸して揉んだ日常のお茶で、すっきりとした渋みがあります。玉露は摘採前に二十日以上覆いをかけ、葉に甘みと旨みを残すため、濃く甘い茶になります。碾茶も同じく覆下ですが、揉まずに乾燥させ、挽けば抹茶になります。ほうじ茶は煎茶や番茶を強火で焙じ、渋みが抜けて香ばしさだけが残ります。棒茶は葉ではなく茎を使います。番茶は成熟葉や遅摘みの葉で、淡く飲みやすい味です。
もうひとつ、針状ではなく丸く曲がった玉緑茶があり、蒸し製と釜炒りの両方があって、九州西部で多く見られます。
静岡と宇治:二つの本流
静岡は日本最大の産地で、茶園から生葉、茶工場、茶商の流通まで、一連の仕事が県内で見える形になっています。特徴は深蒸しです。蒸し時間を長くとると葉が細かくなり、濃い緑の水色と穏やかな渋みになります。掛川、菊川、川根、東山はいずれもこの流れにあり、大井川中上流の川根は日照時間の短さと寒暖差から、澄んだ水色と旨みが際立ちます。
宇治の意味は生産量より、製茶の歴史と栽培法にあります。宇治田原町の永谷宗圓が1738年に考案した手揉み製法が今日の煎茶の始まりであり、覆下栽培によって煎茶・玉露・碾茶・抹茶がひとつの地域から生まれます。分類をまとめて理解したいなら、宇治がもっとも揃っています。
甘みが欲しいなら:覆いをかけた茶
摘採前に茶園を覆うと、葉に甘みと旨みが残り、渋みは後退します。玉露と抹茶に共通する原理で、違うのは覆う期間と資材です。
福岡・八女の伝統本玉露は稲藁の覆い、自然仕立て、手摘みの新芽に矢部川流域の朝霧が重なり、甘旨のもっとも濃い系統です。宇治玉露は京都盆地の寒暖差と覆下栽培によるもので、青海苔のような覆い香が残ります。鹿児島・霧島のかぶせ茶は韓国岳一帯の標高差と冷涼な山霧のもと二週間以上覆い、甘みははっきりしつつ玉露より軽い味です。南九州の知覧茶は摘採前の覆いに深蒸しを重ね、火山灰土とあいまって濃緑で渋みの少ない一杯になります。
渋くない、日常の茶
緑茶の渋みが苦手な場合、原因は淹れ方より種類であることがほとんどです。焙じた茶や発酵させた茶は、もともと苦みが少なくなります。
石川の加賀棒茶は葉ではなく茎を焙じます。金沢の茶商の仕事が県内の自家焙煎に広がり、浅焙りも深焙りもあります。急須でも水出しでも牛乳と合わせても成立し、もっとも飲みやすい入口です。宇治のほうじ茶は煎茶や番茶を強火で焙じたもので、香ばしさが明確でほとんど渋みがありません。
さらに二つ。滋賀・奥永源寺の政所茶は鈴鹿山脈の急斜面に在来種が育ち、しごき摘みと木桶の平番茶づくりで、清らかな香りに苦みと微かな甘みが残ります。より珍しいのが徳島の上勝阿波晩茶で、茶葉を煮たあと約一か月の乳酸発酵に漬け、天日で乾かします。金色の水色とすっきりした味わいは、通常の緑茶とはまったく別のものです。
抹茶の選び方と、買う前の確認
抹茶の原料は碾茶です。覆いをかけ、揉まずに乾燥させ、石臼で挽きます。宇治、愛知の西尾、福岡の八女、静岡の掛川がそれぞれの抹茶を持ちます。西尾一帯では碾茶を仕上げてから石臼で挽き、稲荷山の赤土と川辺の湿度が土地の条件になっています。点てるなら道具も含まれ、奈良・生駒の高山茶筌は冬に伐った竹を削り穂を編んだもので、濃茶と薄茶では規格が異なります。
注文前に見ておきたいのは四点です。摘採年と一番茶かどうか。新茶は香りが明らかに違います。100gあたりに換算した価格。内容量の幅が大きく、表示価格だけでは判断を誤ります。賞味期限。抹茶も玉露も日持ちしません。そして保存です。開封後の抹茶は湿気と光に弱いため、大缶より小缶のほうが結果的に無駄がありません。
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よくある質問
抹茶と煎茶は何が違いますか?
煎茶は日光の下で育てた葉を蒸して揉んだもので、湯で淹れて葉は濾します。抹茶は覆下で育て揉まずに乾かした碾茶を挽いた粉で、丸ごと飲むため甘みと旨みが凝縮し、色もより濃い緑になります。
玉露が高いのはなぜですか?
玉露は摘採前に二十日以上覆いをかけます。その間は収量が落ち、工程も増え、上位等級は手摘みになります。八女の伝統本玉露は稲藁の覆い、自然仕立て、手摘みで、その差が価格に表れます。
渋いのが苦手です。どれを選べばよいですか?
焙じたものか発酵させたものを選びます。加賀棒茶は茎を、宇治のほうじ茶は葉を強火で焙じ、どちらも渋みがほとんどありません。さらに軽いものなら番茶で、徳島の上勝阿波晩茶は乳酸発酵による金色の水色ですっきりしています。
深蒸しとは何ですか?
蒸し時間を長くとると葉が細かくなり、水色は濃い緑、渋みは穏やか、口当たりは丸くなります。静岡の主流の製法で、掛川や菊川で特にはっきりし、鹿児島の知覧茶でも用いられます。