甲州水晶貴石細工は、甲府と山梨の周辺産地で育った石の工芸です。水晶、ひすい、めのう、黒曜石、碧玉を選び、切り、彫り、磨き、香炉、仏像、龍、鷹、指輪、ネックレスへ仕上げます。
情報は119 日前に更新
甲州水晶貴石細工は、磨かれた面を見る前に山梨の地名から始まる。御嶽昇仙峡の奥、金峰山周辺で水晶原石が見つかった記憶があり、甲府市とその周辺の工房で切断、彫刻、研磨の技が重ねられてきた。水晶、ひすい、めのう、黒曜石、碧玉などの原石は、形、石目、傷、くもり、硬さ、もろさを読まれてから、最初の線を引かれる。透明な光は、石そのものの性質に加えて、その前の選別と線引きから始まっている。
主な産地は甲府市とその周辺で、甲州市、甲斐市、西八代郡市川三郷町も産地として挙げられる。始まりの記憶は、御嶽昇仙峡の奥地と金峰山周辺で見つかった水晶原石に結びつく。発見当初の水晶は原石のまま置物として珍重され、江戸後期になると京都の玉造職人が鉄板に金剛砂をまいて宝石を磨く方法を伝えた。甲府の工房は、この手磨きの方法から、切り、彫り、磨く仕事へ進んでいった。近代には手ずりから足踏み回転式、電力加工へと道具も移り、硬い石をより細かく形にする環境が整った。
材料には水晶、ひすい、碧玉、黒曜石、めのう、そのほかの貴石や半貴石がある。天然石であるため、大きさや形は最初から限られ、石によって粘りやもろさも異なる。水晶はガラスより硬いとされ、加工には時間がかかる。原石選別では、表から見えにくい傷やくもりを見極め、使える範囲を決める。仏像を彫る場合は、顔を石のよい部分に置くように描き始める。ここでいう伝統は、抽象的な言葉では終わらず、石目を読む目と、一本目の線を置く手つきで具体化される。
工房の流れは、原石選別、線引き、切断、絵付け、小割、粗ずり、細かな磨き、洗い、仕上げへ進む。大きな原石に線を引き、切断機で使う範囲を切り出したあと、形に合わせて絵を描く。小割では高速で回る切具で余分な部分を落とし、粗ずりでは鉄でできた円形のコマに石を当てる。金剛砂やカーボランダムなどの研磨材は、粗い粒から細かい粒へ替えられる。木ごま、桐棒、バレル研磨、手仕上げで砂目跡を消していくと、石の表面に澄んだ光が出てくる。
作られるものは、見るための彫刻と身近な装身具のあいだを行き来する。香炉、四天王、龍、鷹、馬、仏像、干支の置物は、硬い石を立体として見せる仕事である。数珠、帯留、根付、指輪、ネックレス、茶道具では、同じ切断と研磨の技が、手に取る大きさや身につける面のなめらかさへ向けられる。安政年間ごろの土屋家の注文帳には、水晶やひすいを使った数珠、帯留、根付が見える。大きな置物では輪郭と厚みが大切になり、装身具では肌や布に近い面の光り方が問われる。
始まりは金峰山周辺の水晶に結びつき、近代の工房では山梨の原石に加えて外から入る石も扱うようになった。大正初期には南米やアフリカなどから水晶、めのう、虎目石が入り、材料の幅が広がった。加工設備も手ずりから足踏み回転式、電力加工へ移り、より精密な彫刻と研磨がしやすくなった。戦後には輸出向けの製品が増え、その後は国内向けの美術工芸品や装身具へ重心が移った。変化したのは材料の行き先と道具で、原石を読み、切り、彫り、磨く手順は甲府の工房に残った。
山梨県水晶美術彫刻協同組合は、作品展、作品ギャラリー、製造工程の紹介、会員や青年部の活動を通して、甲州水晶貴石細工の現在の姿を示している。そこに見えるのは、甲府周辺の産地、天然石の材料、彫りと磨きの技術、製作者のまとまりである。龍や香炉、指輪、ネックレスの磨かれた面は、単品の美しさに加えて、山梨の工房群が続ける選石、線引き、切削、仕上げの手順にもつながっている。
御嶽昇仙峡と金峰山の水晶の記憶、甲府周辺の工房、鉄ごま、木ごま、桐棒、金剛砂。甲州水晶貴石細工は、それらの具体的な場所と道具で見ると輪郭がはっきりする。龍、香炉、仏像、指輪、ネックレスの光は、石そのものの透明感に、切断の前に置いた線と、最後まで砂目を消していく磨きの積み重ねが加わって生まれる。
公開資料・公式情報をもとにまとめています。出典は下記の各ページをご覧ください(内容は変わる場合があります)。
この品が、日本のどの制度・機関に登録・指定・認定されているかを掲載しています。
英語では Koshu crystal and gemstone craft といいます。
甲州水晶貴石細工は、甲府市を中心とした山梨の産地で発展した石の工芸です。職人は水晶、ひすい、めのうなどの天然石を切り、彫り、磨いて、香炉や仏像、装身具、茶道具などに仕上げます。その始まりの記憶は、地元で見つかった水晶原石と結びついています。
産地には甲府市のほか、甲州市、甲斐市、市川三郷町など山梨の地域が含まれます。始まりの記憶は、御嶽昇仙峡の奥地や金峰山周辺で見つかった水晶原石に結びついています。材料には水晶、ひすい、碧玉、黒曜石、めのう、そのほかの貴石や半貴石があります。制作は原石選別、線引き、切断、絵付け、小割、粗ずり、磨き、洗い、仕上げの順で進みます。
香炉や龍、鷹などの彫刻作品は、飾って眺める工芸品として親しまれています。ネックレスや指輪、帯留、根付などは身につける装身具として使われます。数珠や仏像は、宗教的・縁起物としての用途を持ちます。
工芸品は直射日光・湿気・急な温度変化を避け、ぶつからないように保管してください。木・竹・漆・紙は水に弱いため、濡れたらすぐに拭き取ります。個別のお手入れは商品ページの表示をご確認ください。
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