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一位一刀彫は、岐阜県の飛騨地方、高山市・飛騨市・下呂市を主な産地とする木彫である。材料はイチイ。木取りの前から木目、外側の白太、中心に近い赤太があり、職人はその流れと色を読んで形を決める。仕上がった面には色を塗らず、鑿跡と、時を経て茶褐色に深まる艶がそのまま残る。
一位一刀彫の主な産地は、高山市、飛騨市、下呂市である。高山市では、この木彫の背景を、奈良や京都の社寺造営に関わった飛騨の匠の技と結びつけている。高山祭の屋台彫刻にも、その木を扱う細かな手仕事を見ることができる。山の木、祭礼の彫刻、手の中に収まる彫物が、飛騨の同じ地名の中でつながっている。
原木はイチイで、岐阜県の県木でもある。イチイには、樹皮に近い白太と、内側の赤太という二つの色がはっきり現れる。木取りでは、木目の流れと赤白の位置を、面の表情、置物の胴、羽や衣の線に合わせて見極める。完成後も木は少しずつ茶褐色になり、艶を帯びていく。
イチイの原木は共同で購入され、各職人に分けられたあと、それぞれの倉庫で自然乾燥される。制作は、のこぎり、なた、つきのみを使う木取りと下ごしらえから始まり、荒取り、荒彫り、中彫り、仕上げ彫りへ進む。最後のロー仕上げでは彩色せず、イチイの油気やタンニン質を表面に誘い、鑿の跡と後年の色艶を残す。
江戸時代末期、飛騨の山のイチイを用いた根付づくりが、一位一刀彫の発展を大きく進めた。木目を生かし、色を付けない小さな根付は、手のひらに収まる大きさで材料と技を見せる彫物だった。高山市は、その時代に活躍した高山出身の根付彫刻師として、平田亮朝と松田亮長の名を挙げている。
一位一刀彫の主な製品には、茶道具、置物、面がある。小動物や仏像のような形では、細かな表情や体の量感を鑿で彫り出す。鷲塚沐仁の制作例では、般若面、七福神、干支、梟、亀、達磨などの題材が挙げられており、面の稜線や小さな置物の丸みに、イチイの赤白の色と木目が重なる。
イチイは成長が遅く、一位一刀彫は天然のイチイに大きく依存している。適した材は、年輪幅一ミリメートル以下、直径三十センチメートル以上の通直で無節の木とされ、伐期は最低でも約百五十年になる。小さな置物の赤太と白太にも、山で木が太るまでの長い時間が含まれている。
一位一刀彫は、飛騨の地名、イチイの赤太と白太、鋸や鑿の工程、江戸時代末期の根付、百五十年以上の材料時間を、一つの表面に集める木彫である。茶道具、面、小さな置物になったあとも、木色はゆっくり深まり、手元に残る鑿跡が高山、飛騨、下呂の木の仕事を伝えていく。
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英語では Ichii ittobori carving と表記されます。
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一位一刀彫は岐阜県の工芸品です。公的な登録、地域の資料、楽天の販売中商品と照合し、産地との関わりや特徴を整理しています。
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