鳥取市青谷町と佐治町で作られる因州和紙は、因幡の地名、約1300年の紙すき、書道半紙や画仙紙、ランプシェードやしおりへ広がる用途を一枚の紙に映している。
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因州和紙の「因州」は、現在の鳥取県東部にあたる因幡国と結びつく。鳥取市青谷町と佐治町では現在も因州和紙が作られ、平安時代の『延喜式』には因幡から朝廷へ紙が納められたことが見える。青谷では約1300年前から紙すきが続くとされ、楮・三椏・雁皮の靱皮繊維が、書道半紙、画仙紙、染色紙、ランプシェード、プリンタ用紙、はがき、しおりへ形を変えていく。
因幡国は現在の鳥取県東部にあたり、因州和紙の地名はこの土地に結びついている。現在の産地は鳥取市青谷町と佐治町で、青谷町河原、青谷町山根、佐治町福園、佐治町刈地などの地名が製作者や関連施設の住所に並ぶ。2003年には佐治と青谷の二つの協同組合が合併し、鳥取県因州和紙協同組合として16名の組合員を束ねる形になった。原料の共同購入、技術力の向上、後継者の育成といった取り組みが、二つの町の紙づくりをつないでいる。
平安時代の『延喜式』には、因幡国から朝廷へ紙が納められたことが見える。青谷では、紙すきに適したこの土地で約1300年前から和紙が作られてきたとされる。古い地名としての因幡、現在の青谷町と佐治町、手すきの紙が続いていることが、因州和紙の長い時間を具体的に支えている。
因州和紙の紙質は、原料を選ぶところから変わる。楮、三椏、雁皮はいずれも木の皮の靱皮から繊維を取り出して使い、目的の紙に合わせて選ばれる。楮は太く強い繊維で、障子紙、奉書紙、表具紙など強度を求める紙に使われる。三椏は細く柔らかく、光沢があり、印刷、かな用書道半紙、美術工芸紙に向く。雁皮は細く短い光沢のある繊維で、美術用修復和紙にも使われる。
「因州筆切れず」という言葉は、書くときの感触をそのまま示している。いくら書いても筆先が傷みにくく、墨のかすれが少なく長く書けるという意味を持つ。因州地方では今も書道半紙や画仙紙が多く作られており、毛筆の動き、墨の線、机の上で繰り返す稽古と紙の表面が深く結びついている。
因州和紙の用途は、書道半紙や画仙紙にとどまらない。工芸紙、染色紙の開発と生産に加え、和紙の特性や機能性を生かしたランプシェード、プリンタ用紙も生まれている。はがきやしおりのような小さな紙ものは、青谷と佐治の繊維の手ざわりを手紙、読書、室内の明かりのそばへ運ぶ。
佐治と青谷には、手すき和紙に触れられる施設がある。佐治町福園の施設では、子どもから高齢の人まで紙すき体験ができ、自分ですいた紙を持ち帰ることができる。青谷町山根のあおや和紙工房では、手すき体験に加えて、和紙と光をテーマにした展示や季節ごとの企画展が行われる。同じ青谷町山根には、世界各地の紙を使った生活用品や紙に関する品約2000点、書籍約1900点を収蔵・展示する施設もあり、鳥取の和紙を広い紙の世界の中で見ることができる。
一枚の因州和紙には、因幡という地名、鳥取市青谷町と佐治町の産地、楮・三椏・雁皮の靱皮繊維、書道半紙と画仙紙の筆ざわり、ランプシェード、プリンタ用紙、はがき、しおりという日常の形が重なっている。紙すきの槽、書き手の机、青谷の展示室、佐治で持ち帰る手すきの一枚が、この和紙を現在の暮らしにつないでいる。
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英語では Inshu washi paper といいます。
因州和紙は、現在の鳥取県東部にあたる因幡と結びつく和紙で、鳥取市青谷町と佐治町で作られています。青谷の紙すきは約1300年前から続くとされ、平安時代の『延喜式』には因幡から朝廷への献紙が記されています。「因州筆切れず」と呼ばれる書き味で知られ、書道用紙や工芸紙、暮らしの道具にも使われています。
主な原料は楮、三椏、雁皮で、木の皮の靱皮から取れる繊維を、用途に合わせて使い分けています。楮は太く強い繊維で、障子紙、奉書紙、表具紙など強度が求められる紙に使われています。三椏は細く柔らかく光沢のある繊維で、印刷やかな用書道半紙、美術工芸紙に向いています。雁皮は細く短い光沢のある繊維で、美術用の修復和紙にも使われています。
佐治と青谷の施設では手すき体験ができ、自分ですいた紙を持ち帰ることができます。因州和紙の書道用紙は、筆先が傷みにくく、墨のかすれが少ないまま長く書けるとされています。因州和紙は、ランプシェードやプリンタ用紙、はがき、しおりにも加工されています。
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