東京の工房で、絹織物に青花液で下絵を引き、糸目のりで輪郭を守り、筆やはけで色を挿す。蒸し、水洗、湯のしを経た布は、着物地、羽織、帯の模様になる。
情報は120 日前に更新
東京手描友禅は、新宿、練馬、中野をはじめとする東京の町と絹織物から始まる。白い生地を着物の形に仮縫いし、青花液で水に落ちる線を描き、糸目のり、筆やはけによる色挿し、引染、蒸し、水洗、湯のしへ進む。神田川沿いには染師が多く住み、現在の高田馬場付近には呉服店の染工場が置かれた。いまも落合・中井周辺では、染色作家や職人による講座、工房、展示を通して、手で描く染めの仕事が町の中に見える。
東京手描友禅の主な製作地には、新宿区、練馬区、中野区、そのほか東京の区部が挙げられる。江戸が政治の中心になると、京都方面から染師や絵師が移り住み、染めや織りの技法が町に伝わった。染め物には水が欠かせないため、神田川沿いには多くの染師が暮らした。日本橋越後屋呉服店の染工場は、神田川上流の現在の新宿区高田馬場付近に設けられた。いまの新宿は主要な製作地として続き、落合・中井周辺では染色ワークショップ、実演、町の催しが「染めの街」の姿を見せている。
一反の東京手描友禅は、構想と図案から動き出す。作者は着る人、季節、全体の構図、文様の展開、色調、用いる技法を考え、着物を一枚の絵画に見立てて和紙にラフスケッチを描く。仮縫いした絹織物には、筆に含ませた青花液で下絵を線描きする。青花液は紫露草の花汁をもとにし、水洗いできれいに落ちるため、後に置く糊の線と色の位置を導く一時的な青い骨組みになる。
下絵の後、文様の輪郭に沿って糸目のりを置く。渋紙で作った筒の先に先金を付け、糯粉、糠、塩を混ぜた友禅糊を入れ、生地の表面へ細く絞り出す。この防染により、隣り合う染料が混ざったり、にじんだりしにくくなる。染め上げて糊を洗い落とすと、輪郭には糸を引いたような白い線が残る。色挿しや描き染めは筆やはけで行い、花、葉、四季の景色、小さな濃淡は、手の運びと絹の吸い込みに合わせて整えられる。
色が入った布は、伏せのり、引染、蒸し、水洗、湯のし、仕上げへ進む。伏せのりは染め終えた文様を守り、引染では地色を広い面に入れる。蒸しは熱で染料を定着させる工程で、約一百度の蒸気に二十から二十五分ほど当てる例が示されている。水洗いで余分な染料とのりを落とし、湯のしで布を整える。技法や作品内容によって、一点に一か月から数か月かかることもあり、絹、糊、染料、水、熱が段階を追って仕上がりへ近づく。
東京手描友禅は、構想図案、下絵、友禅挿し、仕上げまでを作者が一貫して担う仕事として語られることが多い。そのため、着物地の線、色の釣り合い、余白は、最初の草図から最後の布面までつながりやすい。紋章上絵が必要な場合は手描き、または紋章彫刻をした型紙を用いる刷り込みで行われる。刺しゅうを入れる場合は手刺しゅうによる。こうした選択は、着物地、羽織、帯の上で、図案、染め、仕上げを一枚の布として考えるための手がかりになる。
東京手描友禅には、江戸の町人の間に広がった粋、さび、洒脱な感覚が結びつけられている。布の上では、その抽象的な言葉は、落ち着いた色調、単彩の中にひそむ細部、装飾を前面に出し切らない構成として現れる。四季の景色や植物は文様になり、現在の作品には明るい色調も取り入れられている。染芸展の競作展示、友禅体験講座、落合・中井周辺の染色ワークショップ、東京の工芸展、銀座での工芸催事では、着物地、染め帯、訪問着、小紋、半襟、帯揚げなどの形が人前に並ぶ。個別の作家例では、向島百花園、小石川後楽園、六義園、皇居東御苑でのスケッチが着物図案につながることも示されている。
東京手描友禅は、神田川の記憶、新宿や中井の工房、絹織物に引く青花液、洗った後に残る白い糸目の線、蒸しと水洗いを一枚の布に重ねていく。着物地、羽織、帯になったとき、東京らしい落ち着きは大きな言葉ではなく、水で消える青い線、洗って残る白い線、数週間から数か月のあいだ布へ戻る作者の手に宿る。
公開資料・公式情報をもとにまとめています。出典は下記の各ページをご覧ください(内容は変わる場合があります)。
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英語では Tokyo hand-painted yuzen といいます。
東京手描友禅は、新宿区、練馬区、中野区など東京の区部で作られる手描きの染色品で、生地には絹織物を用います。青花液で下絵を描き、糸目のりで防染したあと筆やはけで色を挿し、引染、蒸し、水洗い、湯のし、仕上げを経て、着物地や羽織、帯になります。神田川沿いの染師の伝統を受け継ぎ、落合や中井周辺の講座や展示を通じて紹介されています。
江戸が政治の中心になると、京都方面から染師や絵師が移り住み、多くの染師が神田川沿いに暮らしていました。糸目のりは文様の輪郭に置かれ、染料が混ざったりにじんだりするのを防ぎ、水洗い後に白い線を残します。青花液は紫露草の花汁からつくられ、水洗いの過程で完全に落ちます。着物地、羽織、帯のほかに、染め帯、訪問着、小紋、半襟、帯揚げなどの形もあります。
正式な着物に家紋が必要な場合、専門の職人が場合に応じて手描きまたは彫り型を使った拓本の方法で家紋を入れます。一部の作り手は向島百花園、小石川後楽園、六義園、皇居東御苑などで写生を行い、感じたことを着物の図案に落とし込みます。
天然素材の染織品は、はじめのうち多少色落ちします。中性洗剤で他のものと分けて手洗いし、長時間のつけ置きと漂白は避け、色あせを防ぐため陰干ししてください。絹・麻や伝統染色のものはドライクリーニングが必要な場合が多く、商品ページの洗濯表示に従ってください。
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